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精神科 Psychiatry

心・脳・体

言語を扱う人は目的を成し遂げるために考えるという手段を多用します。あれをやらなくては、これをしたい、こうなりたい、あれを早くしなければ、どうしてこうなるんだろう、など日々生活の問題に対して頭の中でプランを立てたり、シュミレーションをしたり、原因や理由をさがしたり、と考えることが得意な生物です。
考えることは文明の発達に貢献してきた便利な行動とも言えます。

しかし考えることが心(ここでは快・不快を知る機能とします)にとってはあまり良くないこともあります。人は何か嫌な体験を思い出しただけでも様々な反応が脳や体に生じます。例えば、苦手な人を思い出しただけで、不快な気分が生じ、動悸がしたり、眠れなくなったりします。これは記憶に快・不快の機能が備わっており、脳にある記憶が浮かぶだけで、実体験のごとく心や体が反応してしまうという特性から起こると考えられています。
考えて上手く解決するときもあれば、解決しないこともあるでしょう。上手くいかない時にさらに考え続けたり(逆に考えることを回避)することで、嫌なことが頭に浮かぶ頻度は増えてしまいます。長期にわたり心を痛めつけると胃潰瘍など心身症と呼ばれる心に関連した体の病気に至るかもしれません。
考えるデメリットもあると理解したうえで、自身の考えるクセの原因や結果を理解し、普段でも原因やクセに気づける訓練をして、対応策をどんどん試して結果をみていく、という心理的な治療方法があります。

また心身相関の立場から、体の変化からストレスに強い脳づくりも可能です。有酸素運動を続けることで脳の神経の繋がりにも変化を及ぼします。笑うという行動も脳神経に変化をもたらしたり、免疫力の改善にもつながります。

向精神薬は脳にはたらくことで、治療上大きな効果をもたらしていますが、上記のごとく非薬物療法を進めることも重要であります。

非薬物療法には集団で行う作業療法もあります。デイケアや作業所における活動を通じて、体を動かしたり、何かに集中することで、上記のような自動的な考えすぎ状態から抜け出すこともできます。また小集団の中で社会性にも触れます。引きこもり状態では味わえない社会的に認められる体験ができます。ここでも体験を通じて心が反応し脳や体は変化します。
以上のように病気になる時も治る時も、脳と体は心を通じて変化を続けています。

薬物療法のみにかたよらず、心理的、社会的アプローチをバランス良く取り入れた治療により、心・脳・体の変化が良い方向に進むことを願います。

東京さつきホスピタル
藤枝 誠

発達・思春期

このページを見ている思春期の皆さんへ

 皆さんは今、困ったり悩んだりしていることがありますか。
困りごとや悩み方にもいろいろあります。症状だったり、気持ちだったり、やってしまうこと(行動)だったりするかもしれません。自分自身のことで悩んでいる人もいるでしょうし、学校や友達関係など、それ以外のことで困っている人もいるでしょう。また、自分では困っていないけれど、家族や学校から自分を心配されることにとまどっている人もいるかもしれません。そのようなことも含めて、もし、精神科に相談してみようかなと思ったら、一度外来に来てください。 さらに、困ってはいるけれど、病院でいろいろ聞かれたり話したりするのは気が進まない人もいると思います。病院に来ることは勇気がいるかもしれませんが、診察は皆さんそれぞれに負担の少ない形で進めます。

東京さつきホスピタルの発達・思春期精神科は、皆さんにとっていつも「頼りになる大人」がいる場所でありたいと思っています。

ご家族の方、18歳以上の受診希望の方へ

 古くから、子どもを対象としたこころの診療科は、不眠、抑うつ、強迫、幻覚妄想などの「精神症状」の問題だけではなく、不登校、家庭内暴力、整理整頓ができないこと、成績不振、無気力などの「適応の問題」を積極的に扱ってきました。

適応の問題は、生きづらさの問題と言い換えてもよいかもしれません。その裏には、発達障害(神経発達症)や統合失調症、気分障害などの精神科で扱う病気が隠れていることがあります。しかし、病気が隠れていてもいなくても、学校や家庭の状況、友人関係、成長過程の一時的な課題など、様々なものが適応に影響していることが珍しくありません。なかでも、現在の問題を周囲の人々にどう受け取められているのかということは、子どものありように大きく影響します。

ですから、子どもが、特に家族や学校から勧められて精神科に来院するときは、「本人の中に起こる病的な事態」そのものと、「周囲がそれをどう受け取っているのか」という二つの問題を合わせて考えなくてはなりません。精神医学ではそれらをそれぞれ、「疾病性」「事例性」と呼んでいます。子どもの適応や生きづらさの問題を適切に扱い改善するためには、疾病性と事例性双方の観点から見た状況の理解と、双方の問題への治療や支援が必要です。

同じことは発達障害(神経発達症)を疑われたり、自分で疑ったりする18歳以上の方の場合にも当てはまります。発達障害、特に自閉症スペクトラム障害は、その特性だけでは病的とは言い切れないことが少なくありません。生きづらさには本人のそれまでの過酷な体験の影響も無視できませんが、少なくとも現在の適応や自己肯定感は、家族、友人、職場など周囲との関係性の改善によって、大きく変わってくるはずです。東京さつきホスピタルの発達・思春期精神科は、18歳以上の発達障害を持つ方の生きづらさに対して、幅広いアプローチで支援を行います。

東京さつきホスピタル 発達・思春期精神科
遠藤季哉

*発達・思春期精神科は、完全予約制となっておりますので、初診の際は必ずお問い合わせください。

発達・思春期精神科 – 思春期診療部門 –

対象となる方

  • 小学6年生から高校生までの、思春期精神科医療全般に対応いたします。(発達障害以外の疾患も診療します)
  • 不登校や引きこもり、ゲーム依存、非行などについては、精神疾患の可能性を含めて評価し、必要な介入を行います。

症状の例

  • 登校できない(またはしたがらない)状態が続いている。
  • 学校やクラスに馴染めず、困ったり悩んだりしている。
  • 生活リズムが乱れ、修正できない。不眠が続いている。
  • 周囲から変だと思われているのではと、強く心配している。
  • すぐイライラして、暴力や器物破損をしてしまう。
  • 落ち込んで元気がなく、何もする気がしない。
  • 携帯やゲームがやめられず、日常生活がまるで成り立たない。
  • 周りの視線が怖くて、人前や街中に出られない。
  • 家から出ず、入浴を嫌がったり、身なりにかまわなくなった。
  • 勉強に集中できず、成果が上がらない。成績が下がってきた。
  • 片付けなどの日常動作が年齢相応にできずにいる。 など

診療方針

ご本人の現在の問題に対し、確かな精神科診断と専門的治療を行います。必要時は家庭や学校の環境調整を含めて助言や援助を行います。発症の背景に隠れた様々な問題にも注目し、症状や社会適応の改善のみを目的とするだけではなく、それぞれの需要や状況に応じて、多面的なアプローチで心身の発達支援を目指します。

外来診療の流れ

ご本人の強い拒否がない限りは、初診時にご家族とも面談いたします。以後は状況を踏まえ、本人とご家族双方との面談を行います。必要に応じて、訪問診療や学校との連携も可能です。なお、発達障害(神経発達症)が疑われる場合は、必要に応じて外来クリニカルパス(診察と検査の予定表)を導入し、4〜5回の来院後に総合的な診断・助言を行い、以後の診療についての個別計画をお伝えします。

外来クリニカルパスの例(発達障害のみ)

入院加療

休養、生活の仕切り直し、基本的な生活習慣の獲得を目的とした発達・思春期ユニットでの入院加療プログラムがあります。病棟構造の関係から、重篤な精神症状や激しい暴力のある場合は、他院での入院加療をお勧めすることがあります。

生活の仕切り直し入院プログラムのイメージ例


*当院の資源の問題から、知的障害の方の状態によっては受診をおすすめできない場合がございます。

発達・思春期精神科 – 成人発達診療部門 –

対象となる方

  • おおむね18歳〜30代までの発達障害(神経発達症)またはそれが疑われる方。
  • ※2023年7月より、発達・思春期精神科での診療は、対象年齢を20代までに変更させていただきました。
     30代以降の発達障害は、精神科にて診療にあたります。
     

  • 社会人、または大学や専門学校などに在籍している方で、対人関係や社会的手続きにおいて困難があり、適応の難しさを自覚または周囲から心配されている方。
  • 幼少時から生きづらさを抱え、現在、社会参加に意欲が持てず、引きこもりやゲーム依存などの傾向にある方。

症状の例

  • 学校や仕事に行かず、引きこもっている。
  • 履修の手続きなどがきちんとできず、進級などに影響している。
  • 友人や仲間関係ができにくく、すぐに孤立してしまう。
  • こだわりが強く、すぐにイライラして自分を抑えられない。
  • 携帯やゲームがやめられず、日常生活がまるで成り立たない。
  • 会社の業務や人間関係に馴染めず、苦しい思いをしている。
  • 上司や同僚から、思ってもみない非難を受けてしまう。
  • 要領よく物事がこなせず悩んでいる。
  • 整理整頓がどうしてもできない。
  • 昼夜逆転した生活が続き、修正できず困っている。 など

診療方針

単に診断をつけることは目的としていません。診断がついた場合は、心理検査やSST、家族関係の調整、ペアレントトレーニング、社会参加への相談など、ご本人の希望や需要に沿った広範囲な支援を行います。もちろん必要に応じて、薬物処方もいたします。

外来診療の流れ

精神科診察、心理検査、身体検査を含めた精度の高い診断と、広範囲な支援を目指して、診察はクリニカルパス(診察と検査の予定表)方式で行います。4〜5回の来院後に、総合的な診断・助言を行い、以後の診療について個別の計画をお伝えします。

外来クリニカルパスの例



*当院の資源の問題から、知的障害の方の状態によっては受診をおすすめできない場合がございます。

ストレス

  1. ストレス反応ではなにが起きるのか?

    元来人間には生命を脅かすような天敵が存在していました。天敵に遭遇したときに様々な反応がおこります。最初に恐怖や不安により脳の扁桃体が活性化します。次にストレスホルモン(ストレス刺激によって体内に増えるホルモンの総称)が放出され、心拍数が上がり、血液が固まりやすくなります。また、交感神経も活性化され血管収縮、血圧上昇などの反応があらわれます。この反応のおかげで素早く動けるようになり、出血に備えて血が止まりやすくなります。これらは生き残る為に必要な反応でありました。
    文明が発展した現在では、人間にとって死に追い込まれるような天敵と遭遇することはほぼなくなりました。しかし、安全となった現代社会においてむしろストレスの反応の発生率は特に都市部に増えています。
  2. ストレス状態が長びくとどうなるか?

    ストレスホルモンと自律神経により心筋と血管への作用が続き、心臓発作、心不全のリスクが上がります。
    血管壁に常在する細菌が活性化され血管壁を破り突然死にいたることも。
    戦闘・出血に備えて血栓を作りやすくなる為に、心筋梗塞、脳梗塞、肺梗塞(エコノミー症候群)のリスクが上がります。免疫細胞が癌細胞を攻撃しなくなり癌発生率も上がります。その他糖尿病、アレルギー、喘息、胃潰瘍も罹患率が上がります。
  3. ストレス対処

    ストレスの原因の解消や軽減をまずはみなさん考えます。またはストレス解消のため遊びに出かけたり、趣味に没頭したり、運動したり日常的にストレスに対処を行なっています。
    これで上手く解消できればその調子で日々を送っていただいて良いのでしょう。運動や笑うことには様々な大きな効果が認められています。しかし心・脳・体のコーナーでもご紹介しましたが、言語、思考を多用する人間は、嫌な体験を思い出してはストレス反応が頻回に起きてしまいます。実際の体験は一度なのに、何十回も思い出しては嫌な気持ちになり、ストレス反応に見舞われます。このような言語機能に起因するストレスに対して、いくつかの心理療法があります。それらの心理療法の中で多く利用されているのがマインドフルネスという手法です。次々と現れては消えていく思考や感情、感覚をありのままに確認し留め、さらなる個人的な思考に発展させないようにします。今自身に起きている様々な現象・事実だけを客観的に観察し続ける手法です。
    古くは原始仏典に記されていた正念正知という仏道修行と同じと考えます。また経典にある呼吸とともに観察する方法もマインドフルネスと類似しています。忙しい現代人が使いやすく効果的な心理療法としてマインドフルネスはアメリカでは大流行し、医療現場、刑務所、学校、大手企業の新入社員研修などで広く利用されています。
    日本でもここ10年において多くの書籍が出版されています。マインドフルネスやヴィパッサナー瞑想などと検索していただければ多くの書籍が出てきます。自分1人でもできる療法で、何か新しいストレス対処を考えている方にお勧めします。
    繰り返しになりますが、薬物療法のみにかたよらず、心理的、社会的アプローチをバランス良く取り入れた治療により、心・脳・体の変化が良い方向に進むことを願います。

東京さつきホスピタル
藤枝 誠

精神科リハビリテーション

精神科リハビリテーション

患者様がその人らしい生活を継続していけるように、発達障害のお子様からご高齢の患者様、身体の障害を併せ持っている患者様まで幅広くリハビリテーションを提供していきます。

プログラム

精神科作業療法とは

個別あるいは他の人たちと関わりながら作業療法プログラムを経験することで、精神の安定だけでは無く身体能力の維持向上にも努めていきます。地域生活に向けた準備など患者様の必要性や目標に合わせ、その人らしい生き方の支援を行っていきます。

【作業療法プログラム内容】

  • レク
  • スポーツ
  • 体操
  • カラオケ
  • ヨガ
  • リラクゼーション など

※多岐にわたるプログラムの中から自分に合った活動が選択できます。

作業療法に加え、退院前訪問指導・生活技能訓練・心理教育等も行います

特徴

当院の特徴として個別または小グループにて、地域生活に向けての社会資源の体験を行います。デイケアの参加や、作業所での農園や軽作業の体験を行います。また自宅内での家事、公共交通機関の利用、日常生活の不安な点も退院前に準備・練習します。

メールはこちら お問い合わせフォーム

代表・小児科受付 03-3308-8281

初診受付(精神・思春期) 03-6909-0888